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2019/09/20

東南アジアの危機管理広報、モニタリングの重要性

 こんにちは、プラップシンガポールの舟橋です。日本企業が海外でPR会社を起用ようと考えるきっかけの一つは、危機管理広報なのではないかと思います。特に中国や韓国など、日本との関係が複雑な地域では、以前からその傾向が顕著でした。
 しかしながら最近は、国際関係緊張の動きは変化のスピードが早く、その範囲も拡大してきたため、国家間の問題だけでなく、特定の業界や製品を巡ってクライシスが発生し、広報や渉外が活躍する(活躍せざるを得ない)場面が増えてきています。

まず重要なのは、丁寧なモニタリング
 危機管理広報の体制を整える上で、まず最初にするべきこと、そして非常に大切なことが、メディアやSNSのモニタリングです。常に自社および競合社の状況をモニタリングし、また自社が属する業界に向けられた論調、政府の動きなどを日常からチェックすることが大事です。さらにその上で、有事の際について見極めるべきは、起こった事象に対して謝罪を含む特別な対応をするか否か、というタイムリーな判断です。
 実際の事例を挙げると、タイで某メーカーが実施した記者発表会において、旭日旗を思わせるビジュアル(赤と白が放射状に伸びる線のビジュアル)をプロモーションに採用したところ、タイでのプロモーションが韓国で話題となりました。さらに他メーカーでも、日本で実施した記者発表会の実施日が、中国での過去の戦争に関わる日付と同一だったため、中国で非難を受けるというようなこともありました。
 こういった、思わぬこと、意図しないことから、非難の声やクライシスが発生することもあり、そのためにもモニタリングは「転ばぬ先の杖」となります。

日本と海外で違う、危機管理のポイント
 日本企業の駐在員と話していると、海外での現地社員のマネジメント上で「部下がなかなか誤りを認めない」などの困惑の声が聞こえてきますが、日本と海外では謝罪への考え方に差異があります。日本での危機管理広報では「いかに謝るか」が重要となる一方、海外での広報ではそのような”前提”はありません。日本では近年、多くの会社が「危機管理広報マニュアル」を社内整備していることも多いかと思いますが、海外でそのまま適用することは危険です。

近年重要視される、インターネットでのステートメント発表
 東南アジア諸国では、メディアが分散していて数が多くはないこと、紙からインターネットに移行していることなどから、インターネットメディアの力が高まっています。さらに重要なのはSNSの台頭です。島国も多くロジも悪く、紙でのメディアの流通よりもインターネットのメディアとしての優位性は、他地域のそれよりもはるかに高いです。そのため、何か有事が起きた際、企業がコメントを発表する際にも、自社のSNSアカウントやインターネットメディアを通じて行うことが多いようです。
 ネットメディアやSNSでの情報の拡がり、寄せられるコメントにどのように対応するか、対応するか否かの判断は、東南アジアの危機管理広報では重要なポイントとなるため、適切にモニタリングを行える体制を準備しておくことが重要です。

 最初に書いた通り、ここのところの国際関係の変化は急速で、その変化に伴って様々な分野・業界で摩擦が発生し、事業上・広報上のリスクは高まっています。東南アジアではこれまで、日本企業の広報・PR上の危機はあまり頻発してきませんでしたが、今後は少し状況が変化するかもしれません。
 プラップグループでは、グループ全体の知見を生かし、お客様のコミュニケーション上の課題に取り組んでまいります。

 

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