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2024/03/21

2024年CESにおける企業のPR活動傾向分析

1/9(火)~1/12(金)の期間、アメリカのロサンゼルスでCESが開催されました。
今回は、今年のCESの傾向や注目ポイントについて分析いたしましたのでご紹介します。そもそもCESとは、年に一度開催される電子機器の見本市で、業界向けの展示会のため、一般への公開はされていません。

一方で、各社が多くの新製品・プロトタイプを出品するほか、事業に関する大きな発表をする企業も多く、今や世界最大のテックイベントとして各国のメディアからも大きな注目を集めています。開催前後の期間には記事やSNS上での投稿が一気に増加し、一般の方の目にも多く触れる大型イベントです。CESの注目度がいかに高いかを示すために、CESに類似する主要な電子機器関連の国際展示会の記事数やその記事についたエンゲージメント数を比較したグラフがこちらです。

2位の展示会と比較し、記事数は約2倍、エンゲージメントに至っては約20倍と大きな差があることがわかります。これだけ注目される展示会をPRの場として活用しない手はないと思います。

今年のCESの注目トピック

2023年は主に自動車関連の話題に注目が集まったCES。ソニー社で初のコンセプトカーとなるSony Honda Mobility「Afeela」の発表は特に大きな話題を呼んだほか、BMWやVlokswagen、Audiなど主要自動車メーカー各社から最新機種が発表されました。

2024年の今年は、昨年に引き続きモビリティの話題が注目されたことに加えて、人工知能(Artificial Intelligence、AI)が最大のトレンドであったと言えます。SNSやWeb記事などを分析するソーシャルリスニングツール「Talkwalker」で、CES関連記事の露出が増発すると考えられる2024年1月5日~2024年1月24日の20日間で頻出したキーワードを一覧化すると「人工知能」が大きく目立っており、「電気自動車」「自動車産業」などのモビリティ関連のキーワードが散布していることがわかります。

AI関連で特に目立っていた露出は、Walmartグループの倉庫型スーパー・Sam’s Club社が発表したAI活用によるカートスキャンによる精算技術への取り組み。Walmart社の基調講演中に発表されたこの取り組みは、CES関連記事全体の中でも際立って注目度が高かったことが、分析からも明らかになりました。モビリティ関連では、昨年に引き続き登場したSony Honda Mobilityの「Afeela」の話題が注目を集めました。Playstation 5のゲームコントローラーを使った車体操作のデモンストレーションはAfeela関連の各露出でハイライトされました。

総じて、生成系AIの存在感が非常に大きかったCES2024。分野問わず、多種多様な企業・技術・製品での導入や搭載が目立っており、AIの広がりを感じる展示となりました。一方で、「AI」の飽和状態に対する懸念も生じつつあり、CES関連の報道記事の中には、AIの定義の不明確性ゆえにAIとは呼べない製品性能を「AI搭載」と謳うことへの疑問を投げかける記事も見られました。今後は、AIというトレンドは引き続き影響度を保ちつつ、AIに対するリテラシーの高まりにより、企業はよりAI搭載の”質”に厳しいまなざしが向けられることが考えられます。

出展企業はALL ON!?(なんでもあり!?)で、韓国勢が大躍進。

電子機器の見本市ということも有り、いわゆるPanasonicのような家電メーカーの出展が多いイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、電子機器が指す意味合いは広く、ホンダやフォルクスワーゲンといった自動車メーカー、Intelやクアルコムなどの半導体メーカーはもちろん、三井不動産レジデンシャルをはじめとする不動産業界、ウォルマートをはじめとする小売業界の企業等、幅広い業界の企業が出展しています。
また、今年は資生堂が初出展したり、ロレアルが初の基調講演を実施するなど、ビューティー業界の発表が話題となりました。2024年のCESのテーマの通り、もはや電子機器をメインに取り扱っていなくても、テクノロジーを活用していればALL ON(なんでもあり)のイベントです。
日本からもPanasonicやSony、Hondaなどはもちろん、前述の資生堂、石油大手のENEOS、ガラスメーカーのAGCなど、幅広い業種の企業が出展しました。

一方、国別でみると韓国勢がこのイベントに非常に注力していることが分かります。出展者数は日本の出展者が約50社に対し、韓国は760社と約15倍に至ります。
また、CES全体の記事のうち韓国を代表するメーカーSamsung , LG, Hyundaiが含まれる記事数は、約2割に上り、CESに関する記事の1/5で上記韓国企業が言及されているということになります。

これは韓国企業のテクノロジーに力をいれ、それが注目されているということはもちろんですが、何もしなければ、ここまでの記事が露出することはなく、CESでの発信に非常に力を入れているということに起因しております。裏を返せば、日系企業も発信次第ではこれだけの伸びしろがあるといえます。

基調講演(キーノートスピーチ)について

CES2024では、会期前を含めて合計6回にわたって基調講演(キーノートスピーチ)が行われました。(詳細はこちら

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《登壇企業一覧》

1月8日(月) ※会期前
・SIEMENS

1月9日(火)
・L’OREAL
・Walmart
・Intel × Elevance Health

1月10日(水)
・HD HYUNDAI
・Qualcomm × Nasdaq

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登壇企業として社名が取り上げられれば、会期前からの注目度も高めることができる基調講演。では、実際に基調講演に登壇した企業の関連露出はエンゲージメント獲得につながっているのでしょうか?前出の「Talkwalker」を使って、CES関連記事の中で「Keynote」を含む記事と含まない記事で分類し掲載分析を行ったところ、記事数ではCES関連記事のうち基調講演関連の記事は3.2%であったのに対して、エンゲージメント数(※)の割合は15.6%を占める結果となりました。これは、基調講演に関連する露出が他のCES関連の露出よりも注目されやすかったことを示しています。※エンゲージメント数:Facebookのいいね!、コメント、URLシェア、Xでの記事URLが含まれる投稿数の合計値より算出

特に今年についてはビューティー業界で初の基調講演登壇となったL’OREAL社や、前述のAIによるカートスキャン技術で注目を集めたWalmart社など主要トピックが詰まっていたことも影響している可能性はありますが、基調講演における広報効果は露出数という量的な成果だけでなく、エンゲージメントという質的な成果ももたらしているのです。

以上、CESの概要と今年の見どころをご紹介いたしました。

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