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2023/03/15

在日中国人インフルエンサーが語る、海外広報における動画活用PR

中国/アジア・パシフィック事業部の舟橋です。コロナの影響が緩和され、インバウンドの回復も間近とされている中、ここ数年、日本における海外広報やインバウンドPRの現場で活用することが増えてきた『在日外国人インフルエンサー』を活用したPR施策。
今回は在日中国人インフルエンサーの『東京大明白』さんに、インフルエンサーになられた背景や活動の方針、日本から発信し続けている理由など、盛りだくさんに伺いました。

まずは自己紹介をお願いします。
中国向けの配信をメインとしたインフルエンサー活動と、中国マーケティングのコンサルティングをやっています。メインの事業では個人のインフルエンサーの仕事をしていて、日本で生きていながら日本の面白いことや、ちょっと気になったニュースに対して自分なりのツッコミを入れて話す、お笑いトークショーのような内容で中国向けに発信するのが私のコンテンツの特徴です。

-bilibili チャンネル登録者数:79.5万人
https://space.bilibili.com/254726274/
-Weibo『东京大明白vlog』 チャンネル登録者数:210万人
https://weibo.com/gsound?refer_flag=1005050010_

インフルエンサーの発信を始められたのはどのような背景が?
最初は企業で普通にバイヤーとして働いて、その後自分でECショップを立ち上げる事業を始めました。それまでにはまだ越境ECという単語がまだ流行っていなかったと思うんですが、その頃に初めて日本に出掛ける中国人がすごく増えていって。中国の越境ECが取り上げられて、毎年アリババの最高売り上げが更新される時期に、中国のことを意識して結構問い合わせが増えてきました。2017・18年頃にバイトダンスがすごい勢いで伸びてきて、これはちょっと違う世界の始まりだなと気付きました。

記事メディアではなく、これからは動画だと気付いたのが2019年ですか?                         マーケティング会社に転職して「これからは動画の時代だからインフルエンサーやKOLアカウントを沢山作りたい」と社長に猛アピールしまして。一人で部門を立ち上げて、何人か部下を雇ってメディア事業部を立ち上げて、コンテンツメディアを始めました。2019年に抖音(中国版TikTok)アカウント『A-YA東京』(哎呀东京)というチャンネルを立ち上げ。東京で遊びながら色々面白いことや美味しい食べものを発信するという内容で、2ヶ月でフォロワーが38万人になりました。当時は、日本在日でインフルエンサーに特化している人はそんなに多くなかったので割と目立つ存在になりました。

中国でコンテンツをヒットさせるきっかけは何かありましたか?
中国でバズるには人と同じでない個性・キャラクター、いわゆるIPがとても重要になります。ただ事実を読み上げるだけのニュースより、同じニュースでも独特な面白い目線で主観的な発信をしたほうがウケます。もはや報道というよりもエンターテイメントとして認識されていますが。       

今までで一番バズった動画は、『日本の道路やバスのタイヤが綺麗!』という内容で、日本人にとっては当たり前なことかもしれませんが中国人にとっては衝撃的なことで。たった5~10秒の紹介動画をアップしたところ、数時間で抖音で何万件いいねとコメントが数万件つきました。いろんな方からたくさんの意見がコメントされ、またアルゴリズムによってコメントした人と似たようなユーザーたちにさらに拡散し、最終的に40万いいねがつきました。

その動画をきっかけに少しずつ何が中国人動画のファンたちにハマるのか、どういう切り口にするのがウケるのかを磨いていきました。ただ日本を褒めるだけのインフルエンサーは意味がありません。問題提起をして自分で突っ込んでみたり、もしくは賛否両論になりそうなネタを発掘して投稿しています。

bilibili、RED、抖音、各プラットフォームの違いとは?
物を紹介するなら断然強いのはRED(中国版Instagram)。プロダクトマーケティングに親和性が高いです。bilibili(中国版ニコニコ動画)もいいですね。一方、抖音(中国版TikTok)は、レコメンド型で視聴者が選べず勝手に動画が再生されてしまうので、ロイヤリティーの高いカスタマーには向いていない。が、本当に知らない人が偶然に見るっていうのがいいところでもあります。継続的なマーケティングに向いていないと思います。

視聴者は二種類のタイプに分かれていて、自分の自己主張や意図を持って自分で動画を探していく主動的タイプ(bilibili)と、勝手にレコメンドしてもらった動画を視聴する受動的タイプ(抖音)。私は自分で意思を持って選んで視聴してもらって、そこでファンとの深いコミュニケーションを取りたかったのでbilibiliをメインとしています。

印象に残ったタイアップ案件は何ですか?
プラップさんとご一緒した電機メーカー様の省エネ工場のPR案件は思い出深く、今までの案件の中で一番勉強をした案件ですね。国によってインフラやエネルギーの方向性が異なるので、テーマとしては非常に敏感。当たり前に電気を使っている一般人にとって、水素はいいよと伝えるのは認識の違いもあるし。自分だけでなく、ブランド側にも間違えたことを伝えて炎上してしまうことは絶対に避けたいと。どういうシナリオを描こうか頭を抱えましたね。

水素エネルギー=車のことと思われがちだけど、そうではなく単なるあらゆる場面で使われる発電技術の話をしたいし、将来の選択肢として未来のエネルギー研究の中にこういう方式もあるんだっていうことを紹介して、冷静に考えてほしいなと思いました。

ファンとのコミュニケーションの取り方で心掛けていることはありますか?
コメントとのやり取りはやっぱりすごい大事ですよね。コメントはそのまま放置するとどんどん数が減っていくので、私はコメントだけでなく、なるべくDMもすべて返すようにしています、深夜になっても。コメントでの炎上で一番心配しているのはbilibiliです。発信者がこういった観点を持って発信しているからと、コメントする側も自分の主張を真面目に考えて伝えたいと思って送ってくるので私もその返事は真面目に返すようにしています。弾幕でもup主が発信すると分かるようになっているので、視聴者とインタラクティブにコメントをやりとりしないと一方的に投稿して終わりと認識されてしまいます。

色々な認知レベルや考え方の方がいるので、良いコメントだけでなく悪口のようなコメントも正直送られてきます。例えば、とにかく日本が嫌いだとか、何で日本に行くのか理解できないとか、そういうコメントにはあまり対応しないそうですね。腹が立つコメントは削除することもあります(笑)ディスられたらディスり返すし、間違っていた内容なら素直に謝るし。現実に近い人格をネット上でも再現していく、そういったキャラクターになっていきたいと思っています。

自分の論点観点を持っていて、例えば水素エネルギーに対してのお考え、もしくはその専門分野の研究者のような人にはちゃんと返します。そういう人が将来的にもちゃんとしたコメントを残してくれるし、私自身にも役に立つ情報になったりします。

動画の方針やこういうことを伝えていきたい、という想いはありますか?
自分の動画を作るときにあんまり考えすぎないようにしています。テレビでもないし、マスメディアでもないし、オウンドメディアでもないし。間違えていれば間違えたことに対してはまた動画を上げればよいし、それがバズるかもしれないし。僕は日本のことに対して、自分が本当に正しいし面白いと思うことはしっかりと伝えていきたいんです。

商品を紹介するとしても実際に私が使ってみて良い商品を紹介していきます。商品を使ってもないのに勝手に紹介する人たちも結構この世界では多くいるんですが、そういうのは絶対やりたくないと思っています。

 

インフルエンサー『東京大明白』としての今後の活動の抱負はありますか?
bilibiliで2020年の1月から本格的に配信の活動をして、1年目でチャンネル登録者数は50万人になりました。そこから更に飛躍的な成長をしていく為には配信頻度を多くして、コンテンツを多様化し、まだ出会っていない人達に届くようにしていかないといけません。毎年10万人ずつ登録者数が伸びていき、スタイルも安定してきたので、今年は100万人を目指しているんです!これまでの長尺動画を月4本から月6~8本の配信に増やしていく予定です。

インフルエンサーにとってPR会社の存在とは?
今は、中国からの依頼と日本の依頼は、9:1ぐらい、直接のクライアントからというよりは中国の場合はPR会社からのほうが多いです。日本から依頼される場合にも絶対に代理店が間に入ってやったほうが良いと感じています。僕はブランド側の人間でもあったし、インフルエンサーでもあるので、そこの関係性をよく知っています。

ブランド側はブランドの伝えたいことしか考えていないし、インフルエンサーはいかに自分の動画がバズるかしか考えていない。ブランドの意図をそのまま伝えるとCMと同じになってしまう。両社の考えを折衝しながら上手にコミュニケーションを取り持てるのは代理店に依頼するメリットだと思います。是非今後も一緒にクライアント様の案件をご一緒できると嬉しいです。

今後、海外渡航の回復が進むにつれ、海外向けのPRや訪日観光客向けのPRニーズの高まりが予想されます。観光インバウンドPRや海外広報でご相談がありましたら、お気軽にプラップジャパンまでご相談ください。

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