初めまして、プラップチャイナ上海オフィスの中竹です。先日3月10日、弊社上海オフィスにおきまして、クライアント企業様をお招きした危機管理広報に関するセミナーを実施しました。セミナーの講師には、ゲストとして中国広報(公共关系)協会理事を務める左跃氏をお迎えし、国営テレビ「CCTV」が毎年3月15日に放映し、その年の消費者問題を具体的な会社を挙げながら特集する「315晩会」を直前に控え、中国における日系企業がどういった姿勢で危機管理に臨むべきについてお話し頂きました。
中国広報活動における、危機管理広報の在り方 左氏はこれまでにも、プラップチャイナ主催のセミナーに登壇をいただいており、今回で4回目。クライアント様向けに危機管理や広報のあり方について専門家の知見からアドバイスを頂いてきました。今回、セミナー冒頭で左氏は、「危機そのものだけに注目するのではなく、全体の中での位置づけを捉えることが重要」と強調しました。日中関係についても、「グローバルな視野を持ち、その上で中国、アメリカ、ロシアの関係を見て初めて、日中関係の方向性を深く理解することができる」とし、危機が発生したときに、全体の状況を無視したままその危機のみに対処していると、後に思わぬ落とし穴に落ちる可能性があるのだとお話しされました。
また、「315晩会」についても、社会全体の状況を踏まえれば、どのような内容になるかある程度予測できるとのこと。左氏は、セミナーの中で「現在の中国は、経済を回復させなければならない大きな圧力にさらされているため、もし現状で問題が発生していない企業であれば、今回取り上げられる可能性は少ないだろう」と話しました。
実際、今年の「315晩会」では、日本企業を含む外資系企業は結果的に1社も取り上げらず、中国企業も大手がやり玉にあがることはありませんでした。では、「315晩会」にいざ取り上げられてしまったときに、会社はどう対応するべきでしょうか。
中国での危機発生時、広報に求められる対応のポイント 左氏は、これまでに多くの事例に関わってきた経験から、必ずしも毎回声明文を出したり、謝罪したりといった反応をする必要はないと話します。対応が必要なのは、1.評判にネガティブな影響を大きく与える場合、2.商品の品質に重大な問題がある場合、とします。また、対応する際は、中身を練るのに時間をかけるのではなく、「短く、速く反応」し、攻撃の元を遮断するのが大事だと言います。さらに、「世論は、論理よりも感情によって動かされる」ため、「傲慢にならず姿勢を低くすること」が重要と指摘しました。
また、現在では、ソーシャルメディアの発展で、「315晩会」だけでなく、日常的に危機管理に取り組む必要が出ているとします。参加者から「上司が危機管理の重要性をなかなか理解してくれない」との悩みが投げかけられると、左氏は「どのような打撃を受ける可能性があるか、そのポイントを伝える必要がある」「場合によっては、専門家に話してもらってもいい」とアドバイスしました。
在更宏大的尺度上,一切偶然都是必然
在更微观的尺度上,一切必然都是偶然 「大局的に見れば、すべての偶然は必然。だが、ミクロのスケールでは、すべての必然は偶然になる」
最後に、こちらは左氏がまとめとして掲げた言葉です。危機管理対策においても、常に「大局的な視点」に立って状況を把握し、落ち着いて対処する重要性を強調しました。
プラップチャイナでは、「315晩会」への対応や、中国における日常的な危機管理についての経験豊富なスタッフが多数在籍しております。危機管理マニュアルの制作から、日常のモニタリング、報道分析、危機発生を模したトレーニングプログラムまで、幅広く危機管理広報の支援を行うことが可能です。お問い合わせは、こちらから。