プラップチャイナの瓦井です。さる6月18日、中国ECのプラットフォーム二大巨頭の一つ、京東(JD.com)のセールが開催されました。セール期間中の売上は昨年を超える実績を記録したそうです。
このようにECが隆盛を誇る中国において、小売実店舗での売上は下がっており、販売をECに切り替え、実店舗を畳んでしまう例も数多く見られます。その一方で、その流れの中でも新たにオープンする実店舗はまだまだ多く、本稿では特徴的な店舗とECとの関係性についてご紹介したいと思います。
HEY TEA LAB
中国全土で最も有名な「網紅店(大ブームのお店)」の一つ、喜茶(HEY TEA)が新たにオープンさせているのがこのラボ形式の店舗です。販売しているのはドリンク以外に、ケーキやジェラートから、上海の店舗ではアルコール入りのカクテルまで提供しています。ラボと銘打っている通り、ビーカーや漏斗などの用具からスタッフの白衣など、研究室のようなディテールを各所に散りばめながら、いわゆる「SNS映え」を意識しつつも、喜茶の様々な最新技術と実験的新商品を体験できる「最新テクノロジーショップ」のような世界観となっています。
喜茶はその製品の美味しさや、店舗を含めたビジュアルの良さなどから圧倒的な支持を集めていますが、業界内では猛烈な競争が繰り広げられており、各社がサービスを競っています。
例えば、喜茶は来店での注文以外に、WEB上での注文も人気なのですが、それは同時に、店舗が「出来上がった商品を受け取りに行く場所」になってしまっているとも言えます(事実、他のブランドはカウンターのみの店舗が多いです)。そんな中で、前述のような世界観に基づいた新しい形の店舗をきちんと作り込むことで話題を呼び、WEBでの注文から来店を促進することで客単価を上げつつ、同時に、多くのSNS上での口コミを獲得しています。ターゲットこそ新しい物好きの若い世代ですが、飽きさせることなく新たな施策を投入することで、ブランドへの愛着心を育成する事ができているように思えます。
BEAST BLING BLING
2011年にWEIBO上で突如誕生し、またたく間に人気ブランドまでのぼりつめたフラワーショップ「BEAST 野獣派」。2013年から14年にかけて、北京や上海などの有名ショッピングモールに、それぞれ特徴的な店舗をオープンさせてきました。そのBEASTが最近何店舗かオープンさせているのが「BEAST BLING BLING」という新店舗です。
ここで扱っているのは、ほとんどがライフスタイル系の雑貨で(日本で言うところのFranc Francに近いようなイメージか)価格帯も抑えめです。本来のフラワーショップの要素としては、生花は一切なく、唯一見られたのはドライフラワーのオブジェくらいでした。生花は鮮度が重要で、在庫管理や受発注業務にも負担がかかってしまうことから、総合ライフスタイルショップへの展開を狙っているものだと推察されます。
BEASTの主な販売チャネルとなっているEC上での消費者行動は、花を買うという明確な目的のもとでページを訪問し、購入することが多いと推察されます。また、花束が有名なため、お祝いなどのイベント発生ベースでの注文がメインと考えると、消費者との日常的なブランド接触の機会は創造しにくいと考えられます。そのような課題背景から、花にふれる機会の無い層にも認知を広げるため、このような新店舗を展開しているのかもしれません。
そしてECはリコメンド機能に基づいて、画面上で関連商品提示するくらいが限度ですが、実店舗、さらに雑貨屋であれば様々なジャンルの商品が並んでいることで、全く思いもよらなかったものを「ついつい買ってしまう」ことでの売上増も期待できます。
以上、EC販売の重要性が取り上げられがちな中国ですが、その一方で、ブランディングや人気の維持など様々な課題に直面し、オンラインだけでなく、オフラインも重視したマーケティング活動が活発に行われています。
プラップグループでは、中国や東南アジアにおいて、世の中の流れや消費者の行動インサイトに沿ったマーケティング活動やPR活動のプランニング、コンサルテーションを実施しております。お気軽に是非ご相談ください。
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