GLOBAL BUSINESS BLOG

海外事業ブログ

海外事業ブログトップ

2020/09/29

コロナとともに生きる、日本小売業の新たなPR戦略

 プラップジャパン海外事業本部の李です。2015年に日本の大学に編入したことがきっかけで、日本での生活が開始しました。
 私が日本に来て以降、中国は大きく変化しています。例えば、中国の新富裕層の台頭、消費習慣の変化、元高による消費力の上昇など、様々な変化が起こりました。特に、消費習慣の変化や元高は、「代理購入」という新たなトレンドを誕生させました。
 今回は、「代理購入」の発展や、コロナによる中国消費者の消費行動への影響、さらにその変化を皆さんにご紹介したいと思います。

「代理購入」への態度の変化
 「代理購入者」が活躍し始めた頃、多くの「代理購入者」は、小売業者に「転売屋」として扱われました。また、小売業者は「代理購入者」の購入にもある程度の抵抗感があり、「代理購入者」に対して、店頭での撮影・大量購入禁止等の厳しい制限を掛ける小売業者も存在しました。
 しかし、ネット通販業界の発展や、「代理購入者」自身の規範化に伴い、「代理購入」という消費形態への理解はどんどん深まり、「代理購入」という購買形式も、徐々に受け入れられるようになりました。「代理購入者」の撮影行為を注意していた店員が、きれいに写真が撮れるように商品を並べてくれたり、中国消費者の興味を喚起するために、中国の口コミアプリで人気商品を確認し重点的に紹介してくれたりする、といったような変化が見られました。
 ところが、「代理購入」がもたらした好調や盛況は、コロナの到来で終焉を迎えることとなります。新型コロナ流行の影響を受けた、航空会社の国際線就航便の運休・減便により、訪日観光客数は急減しました。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2020年2月の訪日観光客は前年同月に比べ、58.3%減となり、2か月後の4月になると、99.9%減となりました*

「ライブコマース」に新たな可能性を見出す小売業界
 5月頃、たまたま私が御徒町に買い物に行った際、商店街の宝石店から中国語が聞こえてきました。よく聞いてみると、中国語で商品を誰かに紹介する声でした。今の時期に中国人観光客が日本に来ることはないだろうと思い、誰に対して紹介しているのかと疑問が浮かびました。
 そこで店内に入ってみると、ライブコマースの映像を配信中の場面に遭遇したのです。店に入って、宝石店のスタッフに尋ねると、中国人観光客の数が激減して売上も同じく急減し悩んでいたところ、ライブコマースを配信している中国人インフルエンサーが来店して、お店でライブコマースをやりたいと相談があったそうです。宝石店の店主は日本人で、ライブコマースによくわかりませんが、中国人スタッフの彼女は良いチャンスだと思い、店主さんに実施を勧めたそうです。店主は迷いながらもOKしたそうで、その日から、毎週1~2名の「タオバオ」や「快手(Kuaishou)」のインフルエンサーが店内でライブ配信をしているそうです。

神話化された「ライブコマース」にも注意が必要
 上記のような、ライブコマースを積極的に導入した小売店は、今では少なくはない状況です。タオバオにおいて、日本からライブ配信を行っているお店もよく見かけますし、日本の求人サイトにも中国語を話せ、ライブコマース配信に興味がある中国人を探している求人広告もあちこちにも見られます。
小売業界がライブコマースを積極的に導入するきっかけは、新型コロナの流行であり、インバウンドの急落だったかもしれませんが、一方で、盛り上がりを見せる中国ライブコマース市場の規模や、人気インフルエンサーの影響力への関心が、無縁ではありません。また、ライブコマース市場に挑戦する在日中国人の若者たちも、李佳琦などの中国トップクラスKOLが稼ぎ出した収入驚愕し、夢を抱くようになりました。
しかし冷静に考えれば、タオバオ1社だけでも1日のライブ配信件数は5万件以上あり、全てのライブ配信が売上に貢献しているわけではなく、全てのライブ配信者が利益を得ているわけではありません。「ライブ配信戦国時代」で生き残るのに必要となる能力は「中国語を話せる」だけではありません。
 どんなプラットフォームを選択し、どんなインフルエンサーを起用し、どんな話術で商品の特徴を消費者に伝え、商品の知名度を高めながら、購買意欲を喚起させるか、緻密な戦略と戦術が必要になります。

プラップグループでは、中国に限らず、アジア圏内を中心に、海外向けのデジタルPRの施策を提供しております。これまで担当したPR・プロモーション活動から豊富な知見を蓄積しております、お気軽にご相談ください。

 

海外インバウンドPR、中国・東南アジアでのPRに関するお問い合わせはこちら

RECENT POST