海外事業開発部の舟橋です。今回は、中国に進出している外資系企業が毎年肝を冷やす、CCTVの特番「315晩会」について取り上げたいと思います。
毎年3月15日に放映されるこの特番ですが、今年はコロナウイルスの感染拡大の影響により、3月15日の放映は「延期」となりました。てっきり、今年は放映無しになるのかと思っておりましたが、先日、7月16日に、突然放映されることになり、多くの企業が情報収集や対応準備に追われました。
改めておさらい、CCTV 「315晩会」
CCTV「315晩会」とは、「国際消費者権益デー」である3月15日に合わせて、中国の国営テレビであるCCTV(中国中央電視台)がゴールデンタイムに放送する特番です。
番組では、消費者に重大な不利益を与えたとされる企業・団体が実名で取り上げられ、これまで有名外資系企業もその対象となってきました。毎年3月になると、多くのメディアで企業のネガティブな報道を掲載する紙面や特設ページが設けられ、盛んに報道合戦が繰り広げられます。
今年の「315晩会」のトピックは
今年のテーマは「凝聚力量 共筑美好(力を結集させ、美しい未来を構築しよう)」と銘打たれ、下記の9つのトピックが放映されました。
1. 水産(ナマコ養殖) 有害な薬品の使用、ずさんな管理体制
2. バーガーキング 消費期限の改ざんの常態化
3. 繊維メーカー タオルの品質問題
4. 上海GM五菱「宝駿560」 トランスミッション品質問題
5. 不動産ディベロッパー 内装業者の品質問題
6. 美容サロン 悪質なセールス問題
7. 「趣頭条」 違法広告問題
8. スマホアプリ ユーザー個人情報抜き取り問題
9. オンライン授業サービス「嗨学網」 退会トラブル
事前の報道では、今年はライブコマースの誇大広告や売上水増し問題が取り上げられると話題になっていましたが、結局EC業界について取り上げられることはなく、政府がそれだけEC業界を経済回復のキーとして重要視しているからだとも考えられます。
また、水産業が冒頭で取り上げられたのは、コロナウイルスの感染拡大の発端となった海鮮市場の安全向上へのメッセージなのではないかとも言われています。取り上げられる事象に、政府のメッセージを感じ取ることも重要です。
日本企業は取り上げられなかったものの、外資企業がやり玉に
今年も昨年に引き続き、日本企業は取り上げられませんでしたが、外資系企業(合弁会社含む)では、米中関係の影響もあってか、バーガーキングとGMの合弁会社が取り上げられました。
また、新型コロナウイルスの影響により、市場が急成長している、オンライン教育の企業が取り上げられたのも特徴的でした。
今回、この時期の放映となったことについては、5月下旬に「両会」が無事終了したこと。さらに、コロナウイルスの感染状況も沈静化し、工場操業が回復し、経済の回復が見込まれたことなどが背景にあるかと考えられます。それと同時に、同番組の人気低下なども囁かれてはいたものの、やはり放映を「延期」はすれど「中止」にはしないところに、中国政府がこの番組の放映を重要視していることが、改めて明らかになったように感じました。
プラップジャパンの中国現地法人、プラップチャイナでは、「315晩会」に関するレポートを作成しています。資料の送付をご希望の方は、「お問い合わせ」よりご連絡ください。
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