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2025/07/09

インドネシア市場の現状とPR広報環境

プラップジャパンで海外事業を担当している舟橋です。先日、インドネシアを訪問してきました。コロナ前にアジア競技大会の仕事で出張して以来、久しぶりのジャカルタでしたが、色々変化を感じましたので、下記に記したいと思います。

インドネシアは、人口約2億7,000万人を擁し、東南アジア最大の経済規模を誇る国です。この20年ほどは、様々な世界情勢を背景としながらも、4-6%の経済成長を維持してきました。人口ボーナス期が間もなく終わるとされている中で、様々な見通しがありますが、プラボウォ新大統領の政策改革により、今後の政治経済の動向に注目が集まっています。日系企業にとっても、依然として有望な市場であることは変わりありません。

私自身、東南アジア進出を検討する際に、インドネシアは有力な選択肢としていたこともあり、思い入れの深い国です。弊社グループでは、シンガポール、ベトナム、タイとオフィスを拡げてきた中で、インドネシアについても展開を強化してゆきたいと考えています。

中国EVの急成長が揺るがす自動車市場の構図

これまでインドネシアの自動車市場は、日本車が圧倒的なシェアを誇ってきました。特にトヨタ、ダイハツ、ホンダといったブランドは長年にわたり信頼を築いてきました。しかし近年、中国のEV(電気自動車)メーカー、特にBYD(比亜迪)やCHERY(奇瑞)が急速に存在感を高めています。それでもなお、インドネシアの自動車販売台数は上位10社のうち8社を日本車が占め、街中を見ると日本車がほとんどという状況ではあります。しかしながら今回はタクシーやGrabなどのライドシェア含め、中国EVを数多く目にしたのは間違いありませんでした。

EV購入時の税優遇策や国内でのEV生産に対する政府支援が後押しとなり、消費者のEVに対する関心も高まっています。特に都市部では、中国勢の商品力、価格競争力が市場を一気に動かしつつあります。

 

スディルマン通りのOOH広告に異変?目立つ空き枠と再構築の兆し

ジャカルタ中心部、ビジネス街の象徴とも言えるスディルマン通りでは、近年OOH(屋外広告)のあり方にも変化が現れています。以前は全面が広告で埋め尽くされていた大型ボードや電飾看板に、現在では「空きスペース」が目立ち始めています。これは一時的な広告出稿の低迷だけでなく、企業が広告予算をより効果測定可能なデジタルメディアにシフトさせている現れでもあります。また、新たな規制や広告設置の許可プロセスの厳格化も要因の一つとされています。

その一方で、AR技術を活用したOOHや、実際の広告面を「体験の場」とするブランディングの試みも見られるようになっており、従来型OOHの再構築が進んでいる印象です。今後は、OOHを単なる「看板」ではなく、ストーリーテリングやSNS連動型施策として活用する動きが鍵となるかもしれません。

 

マラソンランナーとロードバイクの急増が象徴する、都市部ライフスタイルの変化

ジャカルタやスラバヤといった大都市では、コロナ禍以降のライフスタイル変化が今も続いています。その中でも注目されているのが、ロードバイクを趣味とする中間層〜富裕層の急増です。もともと渋滞が慢性化している都市部において、自転車は移動手段として不向きとも言われていましたが、最近では「週末の早朝ライド」や「仲間とツーリング」をするのが、新たなライフスタイルとして定着しつつあります。高級バイクショップの出店も相次ぎ、機能性・ファッション性を重視した消費スタイルが広がっています。

同様に、ランニングやマラソンも都市部を中心に人気が定着しており、各地で開催される市民マラソンやハーフマラソン大会には多くの参加者が集まっています。特にジャカルタマラソンやバンドンマラソンなどは国際的な規模に成長し、健康志向とコミュニティ志向を兼ね備えたイベントとして高い関心を集めています。バンドンマラソンには大塚製薬ポカリスエットがスポンサーとして盛り上げに大きく寄与しています。このようにスポーツアパレル、ランニングシューズ、栄養補助食品など関連消費の需要も拡大しており、企業にとってはブランド訴求の好機でもあります。

これは単なる運動習慣の定着という枠を超え、健康志向やコミュニティ形成、さらにはSNS映えを意識した、都市部の新たなステータス文化となっています。ブランドや商品・サービスを訴求する際にも「健康・環境・映え」を意識したPR文脈の打ち出しが、ますます重要になってきています。

インドネシア市場は今、経済成長とともに、ライフスタイルや消費者行動も急速に多様化・高度化しています。日本企業にとっては、従来の成功体験にとらわれず、ローカルの空気感や文化を的確に捉えた戦略が求められる時代です

プラップジャパンでは、現地パートナーと連携しながら、こうした変化に即したPR・コミュニケーション施策を実行しています。今後も本ブログを通じて、現地のリアルなトレンドや、企業の皆様に役立つ情報を発信してまいります。

皆さまのアジアにおけるマーケティング活動を成功に導けるようご支援いたしますので、検討早期の段階から気軽にご相談をいただけますと幸いです。同時に、比較的多くお問い合わせを頂くアメリカ、ヨーロッパ、オセアニア、中東などへの対応も可能です。お問い合わせはこちらよりお願いいたします。

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