PRAP PR JOURNAL

プラップPRジャーナル

PRAP PR JOURNAL

「AIOの本質はPRです。」
AIに“正しく伝わる”の、その先へ。

PRAP AIO & Communication Lab所長・高崎青史に聞く「選ばれる企業」のつくり方

 

前回のAIOをテーマにしたブログでは、AIO対策の前提として、企業情報を整理し、AIにも人にも正しく伝わるコミュニケーションの土台をつくることの重要性を紹介しました。

企業が伝えるべき情報を整理し、AIが読み取りやすい形で発信することは、AIOにおける重要な第一歩です。

しかし、情報を整えただけで、自社がAIから推薦され、生活者に選ばれるとは限りません。

 

生成AIは、企業の公式サイトだけではなく、メディア記事や専門家の見解、第三者による評価、生活者の声など、

社会に存在するさまざまな情報を横断しながら、企業やブランドを理解しています。

では、自社名を知らない生活者がAIに相談したとき、候補として挙げてもらうためには何が必要なのでしょうか。

そして、なぜそこにPR会社の知見が生きるのでしょうか。

 

今回は、PRAP AIO & Communication Lab所長の高崎青史にインタビュー。

第一弾で取り上げた「正しく伝わるための土台」から一歩進み、PR会社がAIOに取り組む理由と、企業がAIから推薦され、

最終的に生活者から選ばれるまでのコミュニケーションについて聞きました。

 

Interviewee

高崎 青史(Seiji Takasaki)

株式会社プラップジャパン
PRAP AIO & Communication Lab 所長

Web制作・SEO会社でキャリアをスタートし、デジタル広告代理店、メーカーのマーケティング担当、広告代理店経営を経てプラップジャパンへ参画。デジタルとPRの両領域で26年以上の支援経験を持ち、現在は年間30社以上のPR・デジタル領域のコンサルティングを担当している。

情報を整えるだけでは、“推薦される企業”にならない

――前回の記事では、企業情報を整理し、AIにも理解しやすい形で届けることの重要性を紹介しました。その先に取り組むべきことは何でしょうか。

 

高崎:
企業サイトに正確な一次情報を用意し、AIが読み取りやすい形に整えることは、AIOにおける大切な出発点です。

ただし、それだけでAIが自社を積極的に推薦してくれるわけではありません。

たとえば、ユーザーが企業名を指定して「〇〇社の特徴を教えて」と質問した場合は、企業サイトの情報を正しく理解してもらうことが中心になります。

 

一方、実際の商品・サービスの比較検討では、

  「初心者におすすめのサービスは?」
  「自分の条件に合った商品を教えて」
  「この課題を解決できる企業は?」

といったように、企業名を指定せず、課題や条件からAIに相談するケースが多いと考えられます。

 

このとき重要になるのが、AIが示す複数の候補に自社が含まれるかどうかです。

企業情報を正しく理解してもらうことが「守り」だとすれば、自社をまだ知らない生活者との出会いをつくり、候補として推薦される状態を目指すのが「攻め」のAIOです。

AIは、企業の“自己紹介”だけで推薦先を決めない

――なぜ、自社サイトを充実させるだけでは候補に入りにくいのでしょうか。

 

高崎:
AIは、企業自身の発信情報だけで推薦先を決めているわけではないからです。

企業サイトに掲載された一次情報に加えて、メディア記事、専門家の見解、第三者による評価、調査データ、生活者の体験談など、複数の情報を参照しながら、「どの企業が条件に合うのか」「社会からどのように評価されているのか」を判断します。

企業が自社サイトで「高品質です」「多くのお客さまに支持されています」と発信するだけでは、その主張を客観的に裏付ける材料が十分ではありません。

 

一方で、メディアや専門家、生活者など、異なる立場から企業の特徴や価値が語られていれば、AIにとっても企業を理解するための信頼材料になります。

AIOで問われるのは、「自社が何を発信しているか」だけでなく、社会の中で自社がどのように語られているかです。

なぜ、AIOの本質はPRなのか

――社会での“語られ方”が重要だからこそ、PR会社の役割が重要なのでしょうか。

 

高崎:
その通りです。

PR会社はこれまでも、企業が伝えたいことをそのまま発信するのではなく、それが社会や生活者にとってどのような意味を持つのかまで踏まえた情報を発信し、第三者からも語られる状態をつくってきました。

企業や事業の価値を整理し、社会課題や業界動向との接点を見つける。そこから、生活者やメディアに届くストーリーをつくり、信頼できる情報や評価を継続的に積み重ねていく。

こうした活動は、AIが企業を理解するときに参照する社会的な情報や評価を形成することにもつながります。

 

つまり、AIOはまったく新しい技術対策というよりも、PRが長年取り組んできた「社会的な信頼や評価の形成」が、生成AIによる企業やブランドの理解にも影響するようになったものだと考えています。

 

だからこそ、私たちは「AIOの本質はPRである」と捉えています。

オウンドとアーンドを、ひとつのストーリーでつなぐ

――PR会社がAIOに取り組む具体的な強みは、どこにありますか。

 

高崎:
企業サイトやオウンドメディアと、メディア記事などのアーンドメディアを、一貫した企業ストーリーとして設計できることです。

オウンドメディアには、企業が責任を持って発信する一次情報を蓄積します。

 

一方、アーンドメディアには、メディア掲載、専門家の見解、第三者による評価、生活者の声など、企業の主張を外部から支える情報が蓄積されます。

一次情報がなければ、AIが確認できる正確な情報源がありません。一方、外部からの評価がなければ、企業の主張を客観的に裏付ける材料が不足します。

 

プラップジャパンが目指しているのは、

  ・自社サイトを中心とした企業発信

  ・メディアや専門家などによる第三者発信

  ・社会全体で形成される認知やレピュテーション

を分断せず、一貫した文脈でつなぐことです。

 

オウンドとアーンドの両面から、「どのような企業として社会に認識されたいか」を設計できることが、PR会社ならではのAIOの強みだと考えています。

AIOの取り組み方は、企業によって異なる

――AIOについて、すべての企業が同じように取り組めばよいのでしょうか。

 

高崎:
いいえ。AIOの取り組み方は、企業や商品・サービスによって異なります。

AIがどのように使われるかは、情報収集の参考として使われる場合もあれば、複数の商品を比較する場面で活用される場合もあります。また、専門性が高い領域や、生活や経営に与える影響が大きい商品・サービスでは、より高い信頼性や客観的な根拠が求められます。

 

そのため、

  ・AIが意思決定へどの程度関与するのか

  ・ユーザーはどのような疑問や条件をAIへ伝えるのか

  ・商品・サービスを選ぶ際に、何が信頼の根拠になるのか

 

どのような企業として候補に挙がりたいのか、といった点を整理し、自社に合った取り組みを考えることが重要です。

 

AIOは、「やるか、やらないか」の二択で考えるものではありません。自社にとってどのような情報接点が重要なのかを見極め、適切なところから取り組むことが必要です。

AIOは、短期施策ではなく広報資産の積み重ね

――AIOは短期間で成果を期待できるものなのでしょうか。

 

高崎:
比較的短い期間で見直せる情報発信もあれば、中長期的に積み重ねていくべき取り組みもあります。

企業サイトやコンテンツの情報を見直すことで、AIの回答内容が変化する可能性はあります。

一方で、AIが持つ企業やブランドに対する基本的な認識は、社会に長期間蓄積されてきた情報や評価の影響も受けます。

 

企業がこれまで積み重ねてきたメディア露出、専門性の発信、調査やデータ、第三者との取り組み、生活者とのコミュニケーションは、生成AI時代においても重要なブランド資産です。

AIOを短期的な“攻略法”として捉えるのではなく、これまでのPR活動をAI時代の情報資産として捉え直し、継続的に信頼を形成していくことが重要だと思います。

AIOへの取り組みだけでは、“選ばれるブランド”にはならない

――最後にAIOへ取り組む広報・マーケティング担当者へメッセージをお願いします。

 

高崎:
AIの推薦リストに入ることは、これからの情報環境において重要です。

 

ただし、AIから候補として提示されたからといって、生活者が商品や企業を選ぶとは限りません。

  ・その企業を以前から知っているか
  ・ 信頼できる印象があるか
  ・ 自分の価値観や課題に合っているか

こうした認識は、これまでのメディア露出や広告、口コミ、企業活動、生活者とのコミュニケーションによって形成されます。

 

私たちは、企業が選ばれるまでに、次の3つの段階があると考えています。

  ・AIの候補として提示される

  ・生活者の認知や理解につながる

  ・信頼や共感によって最終的に選ばれる

AIOとPRは、どちらか一方を選ぶものではなく、掛け合わせて考えるものです。

 

AIの候補に入ることは重要ですが、それだけで生活者から選ばれるわけではありません。

認知や理解を広げ、信頼や共感につなげていくには、これまでPRが担ってきたコミュニケーションも欠かせません。

AIOとPRは、切り離して考えるのではなく、掛け合わせて考えることが大切です。

 

だからこそ、AIOはデジタル部門だけに任せる施策ではありません。広報、マーケティング、ブランド、経営、IR、採用など、企業全体で「どのような存在として認識されたいか」を考えるコミュニケーション課題だと思います。

おわりに

前回のブログでは、企業情報を整理し、AIにも人にも正しく伝わる土台をつくることの重要性を紹介しました。

その土台を、AIからの推薦や新たな生活者との出会いにつなげるには、自社発信だけでなく、社会の中で形成される評価や信頼とのつながりを考える必要があります。

企業が社会の中でどのように語られ、どのような価値を持つ存在として認識されるのかを考え、信頼できる情報や評価を継続的に積み重ねていく。

それは、PRがこれまで取り組んできた企業と社会との関係づくりそのものです。

 

AIOは、AIの回答に社名を表示させるためだけの施策ではありません。AIによる推薦、生活者の認知、企業への信頼、そして最終的な選択までを、一連のコミュニケーションとして考える取り組みです。

 

プラップジャパンは今後も、PRAP AIO & Communication Labを通じ、PRとデジタルの知見を掛け合わせながら、AI時代に企業が正しく理解され、信頼され、選ばれるためのコミュニケーションの在り方を研究・発信してまいります。

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