プラップPRジャーナル
PRAP PR JOURNAL

ワカモノラボの小澤です。
高校時代、フランスで過ごしていた時にふと感じた小さな違和感があります。
現地の友人たちとSNSを交換してInstagramを眺めていると、彼らの使い方が日本とは少し違うことに気がつきました。彼らのストーリーズ投稿には、授業の合間の本当に何気ない素の動画や、飾らない日常がポンポンと上がってきます。一方で、フィード投稿には、少しだけおしゃれや着飾った時の写真が並んでいました。
当時の私は、「なんでみんな、こんなに自然に使い分けているんだろう?」と不思議に思いましたが、今考えると日本の友人たちの使い方とは、何かが根本的に違うからこそ感じたギャップだったといえます。
フランスの若者にとって、SNSの主な利用目的は「コミュニケーション」です。フランスの16~25歳を対象としたBlog du Modérateurの調査(※1)によると、75%が「友人とのコミュニケーション」を目的にSNSを利用しており、68%が暇つぶし、66%がニュースの閲覧に利用しています。こうした結果から、フランスの若者にとってSNSは、友人とつながり、日常を共有する場として大きな役割を持っていることがうかがえます。
私がフランスで暮らしていた際も、現地の友人たちは複数のアカウントを使い分けるというより、1つのアカウント内でストーリーズとフィードを使い分けたり、アカウントを非公開にして投稿の公開範囲を限定したりしていました。これはあくまで私自身の経験に基づく印象ですが、アカウントそのものを分けるのではなく、SNSの機能を使って「誰に、何を見せるか」を調整しているように感じました。
※1 参考「Étude:comment la Gen Z utilise les réseaux sociaux en 2025」(Diplomeo、Blog du Modérateur、2025年/16~25歳の男女444名を対象)
一方、日本の若者のSNSの利用法は少し違います。
日本の若者のSNS利用については、見せたい自分やつながる相手に応じて、複数のアカウントを使い分ける傾向が指摘されています。メインアカウント(本垢)、趣味垢、推し活垢、親しい人だけを入れる鍵垢など、目的やコミュニティに応じて、アカウントという「部屋」を分けているのです。
SHIBUYA109 lab.が2025年に一都三県在住の15~24歳女性413人を対象に実施した調査(※2)でも、「共有したい話題や見せたい自分に合わせて、つながる相手とアカウントを使い分ける」と分析されています。また、同研究所の2023年の調査では、15~24歳の若者が保有するInstagramアカウントは平均2.28個という結果が示されています。
調査対象は限定されているものの、Instagram、X、TikTokなどのプラットフォームを用途に応じて使い分けるだけでなく、1つのSNSの中でも、つながる相手や投稿する内容によって複数のアカウントを使い分ける様子がうかがえます。
※2 参考「Z世代のSNS利用最新動向2025」(SHIBUYA109 lab.、2025年7月/一都三県在住の15~24歳女性413名を対象)
よく「海外の人は自然体で、日本人はSNSで自分を盛りたがる」といった意見を耳にすることがありますが、本質はそこではない気がします。
私が身近な友人たちを見て感じた違いは、「誰に、どこで見せるか」のコントロール方法です。フランスの友人たちは1つのアカウント内で投稿機能を使い分けていたのに対し、日本では、見せたい自分やつながる相手に応じて、アカウントそのものを使い分ける傾向があるように感じます。
ここで興味深いのが、「BeReal(ビーリアル)」というSNSの存在です。
BeRealはフランス発祥のSNSで、「加工や演出を排除し、リアルな瞬間を共有する」という思想から生まれたアプリです。アプリの仕様自体も今までのSNSとは一風変わっており、毎日ランダムな時間に通知が来て、その瞬間の写真を撮る仕組みです。現在ではアメリカなどグローバルに利用が拡大しています。
日本でも若者を中心に利用が広がり、2026年には国内のアクティブユーザーが650万人を突破しました。
日本でここまで受け入れられた背景には、前述した「見せたい自分や相手に応じて、SNSやアカウントを使い分ける」という感覚も関係していると考えられます。
日本の若者にとってBeRealは、「ありのままのリアルを見せたい」というよりも、「ここでは一切映えなくていい、安心して雑な日常を出せる場」として機能したのではないでしょうか。
つまり、使い分けるための新しい「部屋」が一つ増えたような感覚に近いのだと思います。
高校時代にフランスで感じた小さな違和感。その正体は、身近なフランスの友人たちが投稿機能を使い分けていたのに対し、日本では、見せたい自分やつながる相手に応じて、アカウントという「部屋」そのものを使い分ける傾向が見られることでした。
もちろん、この違いがフランスと日本の若者すべてに当てはまるわけではありません。それでも、SNS上で「誰に、どこで、どのような自分を見せるか」という選択には、それぞれのコミュニケーションの取り方や、他者との距離感が表れているのかもしれません。
次にSNSを開くとき、自分が今どの「部屋」にいて、誰に向けて発信しているのか。そんなことを少しだけ意識してみると、いつものタイムラインがまた違って見えてくるかもしれません。
参考:
https://bereal.com/
https://www.searchlogistics.com/learn/statistics/bereal-statistics/
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