プラップPRジャーナル
PRAP PR JOURNAL
—IRとPRはなぜ連携が必要なのか—

IR(インベスター・リレーションズ)は、
「IR部門の仕事」「投資家向けの専門領域」と思われがちですが、
いま、その考え方が大きく変わりつつあります。
経営戦略や中期経営計画、人的資本や研究開発の取り組み——
こうした経営領域の情報発信においては、投資家だけでなく、メディアや社員、取引先、生活者を含むあらゆるステークホルダーにどう“理解され、語られるか”が問われる時代です。
IRはもはや「広報と無関係な領域」ではなく、
広報部も知っておくべき「経営コミュニケーション」の一部になっています。
そこで今回は、
戦略IRコミュニケーションチーム責任者であり、
コミュニケーションサービス統括本部 統括副本部長の 笹尾智子 にインタビュー。
IR・PRの両軸で企業コミュニケーションに携わってきた立場から、
広報視点で押さえておきたい「経営コミュニケーション」の考え方や、
ステークホルダーとの双方向コミュニケーションをどう設計すべきかを伺いました。
笹尾 智子(Tomoko Sasao)
メリルリンチ証券を経て、ドイツ証券で企業財務戦略チーム(格付維持・向上を軸としたアドバイザリー)で従事後、野村インベスター・リレーションズでIRコンサルティング、IPO企業のコーポレートストーリー作成等を担当。2006年よりプラップジャパンにてコーポレートPRを軸に、IR/IPO/M&Aコミュニケーション、中期経営計画策定時のコミュニケーション、株主総会支援など、企業コミュニケーション支援に25年以上携わる。
笹尾:
大きな変化は、企業が「開示すればよい」ではなく、開示した内容を“どう理解してもらい、どう対話を続けるか”まで含めて問われている点です。
東京証券取引所の要請の流れもあり、例えば経営計画などは現状分析→計画策定・開示→実行→対話→進捗分析→アップデート、というサイクルが前提になっています。
笹尾:
最近特に増えているのは、ステークホルダーとの“双方向コミュニケーション”に関する悩みです。たとえば――
・適時開示はしてきたが、どうコミュニケーションすべきかわからない
・どの情報を、どのタイミングで、どう提供すればよいか迷う
・中期経営計画を策定し説明会もしているが、正しく理解されていない
・情報開示の効果が単発でとどまっている気がする
・個人投資家との接点が少なく、どうアプローチすべきか分からない
・経営として目指す目標を広報が連携・サポートできていない
さらに、若年層(Z世代)の投資家へのアプローチは「見識がない」「具体的な方法がわからない」という声がとても多いですね。
笹尾:
そこは大事な論点です。受け手(ステークホルダー)からすれば、PRかIRかは関係なく、“どんな情報が出ているか”がすべてです。
一方で企業側では、「新サービス発表などメディアにアプローチするのは広報担当」「決算や事業戦略、中計など投資家にアプローチするのはIR担当」と機能分担が固定化しているケースもあり、これがコミュニケーション全体の“分断”につながってしまっていることがあります。
私たちは、広報を「多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能」と捉える考え方を踏まえ、PRとIRを“経営コミュニケーション”として連携させることが必要だと考えています。
笹尾:
まずは「点」ではなく「線」、そして「面」で語っていくことです。
・点(各アクションのニュース):単発のストレートニュースにとどまり、レピュテーションへの影響が限定的
・線(戦略に紐づけたニュース):共通テーマで横串を通し、企業全体の戦略として伝える
・面(社会課題と紐づけたニュース):社会課題・生活者トレンド・グローバル動向と接続し、“企業ゴトを社会ゴトへ”昇華する
たとえば、事業再編、研究開発、人的資本、設備投資などを「やりました」で終わらせず、“企業の計画・目標達成にどうつながるのか”までをセットで設計して発信していく。
そうすることで、ステークホルダーの不安を取り除き、期待値を高めていくことができます。また、その先で社会課題の解決、マテリアリティへの取り組み等と紐づけて発信していくことが重要だと思います。
笹尾:
プレスリリースが“新しいニュース”を扱うものだとすれば、進捗・背景理解を積み上げるには、別の打ち手も重要です。たとえば――
・ニュースレターで発表した事案についての進捗を継続発信する
・人物パブリシティで戦略の「担い手」を可視化し理解・賛同を深める
・メディア向け説明会/研究所説明会などを展開し、理解を深める
これらを、IRとPRで連携して進める企業が増えています。私たちが経営コミュニケーションの視点でアドバイス・実行させて頂いているケースも増えています。
笹尾:
中期経営計画の内容をふまえた上で、弊社として経営陣の皆さまや関係者へのヒアリングを行い、フレームワーク等を活用しながら、より解像度の高いメッセージとストーリーを立案します。
ステークホルダーに「どのような活動をして社会にどのような影響を与えるのか」を具体化し、社会課題やグローバル動向に関心の高い記者へ深くインプットしていくことで、単なる認知ではなく“理解”や“賛同(ファン化)”につなげていきます。
笹尾:
中計を“社内で検証して社内で策定するもの”から、外部視点を取り入れて、対話の土台になるツールへ進化させる動きが増えています。
具体的には、
・アナリストヒアリング
・メディアオーディット
・外部評価を踏まえたレビュー
・弊社のような外部専門家もふくめた骨子作成
・コミュニケーション視点での表現の棚卸し(文言の最適化など)
さらに、発表の場に向けたメディアトレーニングや、資料作成、発表後のレビュー・フィードバックまで含めて支援していくケースもあります。
笹尾:
経営領域のコミュニケーションは、投資家だけのものではありません。従業員、取引先などインターナルも含めたステークホルダー全体に影響します。
だからこそ、社内への浸透度を検証するプログラムなどのインターナルコミュニケーションや、非財務情報の発信設計(どのプラットフォームでどう伝えるか)も含め、支援の幅を広げていきたいと考えています。また企業の皆さまの新しいニーズである若年層の潜在投資家とのコミュニケーション、海外コミュニケーションなども今後パートナー企業の皆さまとも連携しながら強化していきたいと考えています。
◆株式会社プラップジャパンとBuzzFeed Japan株式会社が戦略的パートナーシップを構築
経営領域で求められているのは、「情報を出すこと」そのものにとどまらず、戦略をわかりやすく打ち出し、理解を積み上げ、対話を継続し、期待値を育てていくコミュニケーションです。
プラップジャパンは、PRとIRを分断せず、企業の取り組みを「点」から「線」、そして「面」へと拡張するストーリー設計で、ステークホルダーとの双方向コミュニケーションを支援してまいります。
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