PRAP COLUMN
海外事業
- 2025年12月25日
ベトナム市場のトレンドとPR・広報のヒント
プラップジャパンの西田です。私は2026年から、弊社の東南アジア子会社、プラップポインツのベトナムオフィスに赴任する予定です。今回はその事前準備も兼ね、オフィスのあるホーチミンに出張してきましたので、そこで気づいたことをレポートします。

■加速する日系外食チェーンのベトナム進出と現地語SNS運用
ホーチミンの中心部では、日本食レストランや日系外食チェーンをよく見かけました。もとより外食文化が根付いており、飲食店が多いホーチミンですが、急速な都市化による都市部への人口集中と、経済成長による中間層の拡大を背景に、外食のニーズは今後も拡大すると見込まれています。こうした市場の将来性を背景に、日系外食チェーンのベトナム市場への進出が加速しています。直近の動きとしては、サイゼリヤが2025年5月にベトナムに1号店をオープンし、リンガーハットも同年10月に1号店を出店しています。また、ロイヤルホールディングスは、洋食店「THE ROYAL」や和食居酒屋の「いねや」など、業態の異なる6店舗を展開しています。
今回の出張では、たまたま目にしたラーメンチェーン「町田商店」に入店しました。店内は現地の若者でにぎわっており、味もサービスも日本と変わらず質が高いと感じました。町田商店は2023年ごろからベトナムでの展開を始め、現在はホーチミン市内に5店舗を出店しています。同店は、ベトナムで主流のSNSであるFacebookでの発信に力を入れており、TikTokでも現地インフルエンサーのレビュー動画が拡散されています。外食産業の競争が熾烈化するベトナムで、現地の人々、特に若者に受け入れられるには、メディアに取り上げてもらうPR活動、とりわけSNSマーケティングは欠かせない要素となりそうです。

■バイク移動と渋滞がOOHの広告効果を後押し
出張期間中、日本の小売店が集まるショッピングモール「パークソン」を訪れました。パークソンは観光地の真ん中に位置していることもあり、休日のショッピングを楽しむ人であふれていましたが、特に賑わいを見せていたのが無印良品でした。無印良品は現在、ホーチミンとハノイを中心に、ベトナムで17店舗を展開しており、バイク用のヘルメットや雨具など、現地のニーズに寄り添った商品が人気を集めています。
パークソンの無印良品は、ベトナム最大の旗艦店で、無印良品のベトナム進出5周年に合わせて11月にリニューアルされました。このタイミングに合わせて大型のセールが開催されており、ホーチミン市街ではセール情報を知らせるOOHが散見されました。
ホーチミン市内の移動手段は主にバイクで、交通量は極めて多いです。通勤時間帯には毎日渋滞が発生し、信号待ちの停止時間に視界へ入ることを意図した大型OOHが交差点に配置されています。そもそもの交通量の多さと、渋滞によって停車時間が伸びる街の構造が、OOHの視認性と接触頻度を高め、広告効果を押し上げています。

■健康意識の高まりが追い風となる乳製品
ホーチミン中心部を歩いていると、欧州メーカーが展開する粉ミルクのイベントを目にしました。
ベトナムでは、乳製品全体の需要が拡大傾向にあります。需要が伸びる背景には、収入や生活水準の向上があり、栄養や健康への意識が高まっていることが挙げられます。ベトナムのイオンモールでは、日本メーカーの乳製品も多く販売されていますが、今後はより一層安心感・信頼感のある日本製・海外製の商品が広がっていくことが見込まれます。
弊社グループでも、日系の乳業メーカー様や関連団体様からご相談をいただく機会が増えており、過去には大型ショッピングモールのイベントスペースにて、日本の乳製品を広めるためのポップアップイベントを実施しました。こうした体験型のイベントは、親子が一緒に楽しむことができ、ベトナム現地の消費者からの反応も良好です。消費者の選択肢が広がりつつある中で、今後は商品について知ってもらうためのイベントやPRがより一層重要になりそうです。
■まとめ
ベトナム市場は今、経済成長とともに、ライフスタイルや消費者行動が急速に変化しています。今後もベトナムからは現地スタッフや駐在員がリアルな消費トレンドなど、企業の皆様に役立つ情報を発信してまいります。
弊社グループでも外食産業や消費財産業をはじめ、様々な業界より、手法を問わず現地でのコミュニケーションに関するご相談をいただいております。皆さまのベトナム、アジアにおけるマーケティング活動を成功に導けるようご支援いたしますので、検討早期の段階から気軽にご相談をいただけますと幸いです。お問い合わせはこちらよりお願いいたします。