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PRAP COLUMN

海外事業

北京モーターショー2026に見る、中国自動車市場とPRの新潮流

プラップチャイナ総経理の大槻です。中国では、北京と上海で大型国際モーターショーが交互に開催されており、今年は北京で「Auto China 2026」(通称:北京モーターショー)が開催されています。会場面積は38万平方メートルと、北京モーターショーとしては過去最大規模となり、テーマは「領時代、智未来」。会場では、EVそのものの競争から、AI、スマートコックピット、自動運転支援、超急速充電などを含む「知能化」体験の競争へと、主戦場が移りつつあることを強く感じました。

今回のブログでは、北京モーターショーで見えた中国自動車産業の変化と、そこから読み取れるPR・コミュニケーションの新たな潮流についてレポートします。

日本メーカーの巻き返しを支える「現地開発」と「中国発」の発想

中国メーカーの急速な台頭と激しい価格競争の中で、日本メーカーは中国市場で苦戦していると報じられることも少なくありません。しかし今回の出展で印象的だったのは、日本メーカー各社が単なる「中国向け仕様」ではなく、「中国で考え、中国で開発し、中国から展開する」という姿勢をより明確に打ち出していた点です。

たとえばトヨタは、中国向けの発信において「with China, for China」を掲げ、中国のユーザー理解を起点に、現地の開発体制や技術パートナーシップを組み込んでいく姿勢を示しました。日産もNEV SUVコンセプトを発表し、中国をリード市場の一つであると同時に、グローバルなイノベーションと輸出のハブとして位置付けています。

中国で開発・生産した車両を、中国国内だけでなく海外へ展開していく動きは、「中国市場向け」から「中国発グローバル」への転換を象徴しています。PRの観点でも、「どれだけ中国の生活者を理解しているか」「どれだけ現地のスピードで意思決定できるか」を企業姿勢として伝えることが重要になっています。

中国メーカーは「価格競争」から「知能化競争」へ

中国の新エネルギー車市場は、政府による購入補助金の終了や関連支援の段階的縮小を経て、より実力勝負のフェーズに入っています。足元では価格競争も激しく、各社は低価格で高機能な車両を投入し続けています。

一方で、今回の北京モーターショーで目立ったのは、単なる「安さ」ではありません。各社が前面に打ち出していたのは、AIによる運転支援、スマートコックピット、車内エンターテインメント、超急速充電、将来の自動運転を見据えたシステム全体の進化でした。

つまり中国市場におけるEVは、もはや単なる移動手段ではなく、「最新のAI技術を最も身近に、最も快適に体験できるデバイス」へと変貌しつつあります。競争軸も、航続距離や価格、デザインだけではなく、「車内でどのような体験を提供できるか」「ユーザーの生活とどこまで接続できるか」という体験価値へと移行しています。PRにおいても、スペックを並べるだけではなく、その機能によって日常がどう変わるのかを伝えることが重要になります。

モーターショーの主役を変えた「CEOのKOL化」

今回、PRの観点で特に注目すべきだったのは、企業トップ自らが発信者となる動きです。なかでも大きな注目を集めたのが、シャオミ(Xiaomi)創業者・CEOの雷軍(レイ・ジュン)氏です。北京モーターショーでは、雷軍氏が自ら新モデルの走行実験を行なったり、さらにライブ配信で会場ブースを案内するなど、単なる経営者の登壇にとどまらない発信を行いました。

また、中国メディアでは、雷軍氏をはじめ、複数の自動車関連企業トップが他社ブースを訪問し合う様子が話題化しました。従来のモーターショーでは、企業トップは自社発表会で語る存在でしたが、今回はブースを歩き、他社トップと交流し、SNSで拡散される「コンテンツの主役」としても機能していました。

これは、企業トップがKOL化しているとも言える現象です。消費者の関心が高く、技術が複雑で、競争が激しい市場においては、「トップ自らの言葉」「人間味のあるストーリー」「透明性のある説明」が、企業の信頼形成に大きく影響するようになっています。

今回の北京モーターショーで再確認したのは、中国市場におけるコミュニケーションのスピードと密度です。製品発表、ライブ配信、SNS拡散、メディア報道、ユーザーのリアクションが、ほぼ同時進行で広がっていきます。その中で企業が存在感を出すためには、本社発のメッセージをそのまま翻訳するだけでは不十分です。現地の生活者が何に期待し、どのような言葉に反応するのかを理解したうえで、技術の価値を生活者視点に翻訳し、メディア、SNS、KOL、経営トップの発信を組み合わせていく必要があります。

プラップグループでは、中国をはじめとする海外市場におけるコミュニケーション戦略の立案から、現地メディアリレーション、KOL活用、情報発信支援まで、各市場特性に応じたPR・広報活動をサポートしております。

海外事業の拡大に伴い、現地に適した情報発信やグローバルPR体制の強化をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にこちらよりお問い合わせください。